僕はこれを情熱と呼ぶ

東京から高知、東南アジアを旅して妻と娘を愛するデジタルマーケターの人生です

どうして情報伝達の速い時代に地域現場のリアルが都市部に届いていないの?〜インダストリーラフティングで伝えたいこと〜

 

「ここまで現場に突っ込んだ話が聞けて面白かった。知らないことがたくさんあった。話の中にあったところ、行ってみたい。いつならいい?」

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先日、僕が関わっている

世界の「子どもたちの支援」と「青少年育成」、NPO法人CFF(シーエフエフ)

の事務局で、僕は高知の農業現場で感じていたこと、これから準備して実現していくことを、15人ぐらいに2時間しゃべり倒した。

参加者の方々は1時間お互いの考えをしゃべり倒し、合計3時間の長丁場に耐え、それぞれ得たものがあったらしく、次の動きが出始めていて内心かなりホッとしています。

 

一方で、ずっと感じていた違和感があった。

今までも赤提灯揺れる飲み屋でしゃべくったことはあるが、改めてちゃんと伝えて、返ってきたリアクションを見て思った。

 

 

・・・会場がもっとも盛り上がったと感じたのは、高知での具体的な現場でのエピソードや、実際に起こった課題、それらを解決するための動きだった。

 

例えば、

僕が養鶏で一番困ったのは、夏場に鶏が弱ってしまう時期の飼料配合をどうするかだった。これに関しては、和歌山県のとある養鶏農家の技術提供がなかったら解決にもっと時間を費やして事業が頓挫してしまっていたかもしれない。日本の研究はパターンが少なく、僕らの現場にそのまま当てはまることなんて稀だからだ。

しかし、老齢の養鶏農家は後継者もなく事業を終える。その膨大なノウハウやデータが書かれた日本の宝「養鶏日誌」には、どの文献にも記載されていない現場で得た答えが記されている。騒音による産卵低下を防ぐ技術なんて、行政機関では研究不可能だ。

僕たち(個人的には?)は、これからも各地域の養鶏農家のデータと繋がって、ICTで残していく。このデータは、日本が世界に提案できる最後の技術だと思っている。この技術が、日本の田舎と世界をつなげていく・・・。(以下、詳細は割愛)

 

これは、取り組みの中の一つで、他にもいろんな話をして終えたところ、

ある女の子(最初にアクションを起こすのは現代ではいつも女性だ。しかし、彼女たちがCEOになるのを日本社会は許さない)

が、

 

「今までもなんとなくは知っていたけど、現場の現実的な話は初めて聞いた。これからできることがいろいろあるように感じた。実際に〇〇に行ってみたい!」

 

と言ってくれた。

 

僕は逆に、驚いた。

嬉しい反面、こんなこと話しても今更な人もいるだろうに、と思っていたからだった。

 

「なんで他にも開示されている情報がこんなにもあるのに、現場のリアルを知らない人が多いのだろうか。企業秘密なんて悠長なこと言ってるフェーズじゃあるまいによ。」

 

地方の現場の人が発信するのは現実的ではない

 

実は、情報を伝えるのに色んなハードルがあるんですよね。

 

①行政関係者は、ポジティブな情報しか発信できないので当たり障りない「ほんわか記録」になってしまう

彼らは、国民の税金で食っているので、ネガティブなことを言うと有権者からのクレームが怖い。また、行政の研究機関も、長期的に失敗する研究はしない。短期的に、成果の上がる研究になる。

現場の失敗や課題などはサラッと流され、本当に向き合うべき価値ある研究は予算がつきにくい。

 

②現場の人は情報発信にリソースを割く余裕がない

名前は伏せるが、ある新規就農家は農作物を作りながらあちこちのセミナーやイベントに顔を出していった。しかし、その結果現場の管理がおろそかになり、地域の信頼を下げ、継続困難になった。今、彼がどうしてるのかは知らない・・・・。

現場でやることはたくさんある。生産の仕入れ、現場管理、出荷作業、販売営業、会計などetc.....

その上で情報発信が的確にできる人は、

「まだ東京で消耗してるの?」でお馴染みイケダハヤトさんみたいな鬼ブロガーか、

現場レベルが高くて、かつマネジメントが上手い久松農園サラダボウル、などのレベルになる。

専門性と言語化が非常に面白い自家製天然酵母パン&クラフトビール&カフェのタルマーリー

事実、僕が経験してきたことをブログで言葉にし始めたのも、現場を同僚に任せて離れてからだった。

在籍時代は、主に社長があちこち外部との折衝をほぼ一人でやってくれていた。株式会社というチームプレイだったからこそ為せたことだと思う。

 

③そもそも、言語化がなされていない

第一次産業の数値化・言語化は過去も今も課題だ。生産者同士では言語でのやりとりが可能だが、お客さんとの対話になると、なぜだか「こだわり」「自然な」「美味しい」「ビタミン何倍!」となる。

農業現場の要因の多さ、複雑さ、作業の細かさは、とてもわかりやすい言葉で説明するのは難しい(てか不可能?現場に来てくれるのが早い。)。

共通の言語化は、僕らにとっても大きな課題です。

 

各地の現場と都市部の人をつなぐ情報発信

 

僕自身、別に地域の情報発信をしたいと思っているわけじゃないのであまり詳しいわけではない。

しかし、もしかしたら、その道の人が見たらかなりナンセンスなことを言っているのかもしれない。その場合は、ぜひその人の情報発信を勉強したいと、今は思う。

 

現場の深い話を未経験の人たちと対話することは、とても大事だ。

僕たちも最初はそうだったように、彼らが抱く素朴な疑問は、生産・販売にとってたくさんのヒントがある。 

僕はその疑問に対していつでも現場から一次情報を持って来て答えたい。いつだって答えは現場にある。知ったかぶりや畜産理論を振りかざしてマウントポジションをとってボコボコにトークしたり、記事にして欲しくない。真摯に、彼らとの対話の機会を大事にしたい。

現場と都市部をつなぐ企画を展開・発信している小谷あゆみさんの活動や、

現場に深く根ざした灯台もと暮らしのようなメディアが、これからもっと大事になってくると思う。

また、株式会社のようにチームプレイによって伝えられる量・質が上がってくる。

 

 

あ、忘れてました。

そういえば、7月21日(金)19:00から、新宿にて

ONEれいほく | 高知のNPO法人の事務局長(男 21 or 22歳?)が来て、

僕と参加者が対話する機会を設けてくれると言う。

イベント名は「インダストリーラフティング

 

ありがたい機会なので、ぜひ来場された皆様と一緒に勉強したいと思います。