地域社会を変えるものは、当たり前のものなのにいつも議論から抜け落ちている
先日、ある女の子が「食」に興味があり、もっと消費者を地方の「食育」の場に連れて行きたい、と話していました。
「そうか、事業を起こしたらいいよ。儲けにはなると思うよ。」
僕は、とても悩んでいました。
僕が感じた、地域活性の本質らしきものを伝えようかどうか。
「100年後も持続可能なのか」が僕の問いなのですが、
その女の子と話すには、あまりにも場の雰囲気、長芋のステーキ、そして日本酒が揃いすぎていたのです。
熱く語る勇気がなかったの、、、ごめんね、、、。
またの機会に、と言いつつ、
もう二度と話す機会はないだろうな、人生は短くて、明日には忘れるものだ、
と思ったので、そんなときにこれ読んでみて、と言える記事を残します。
「食育イベントで地域活性をしてみたい!」
「農業こそ地域活性だ!」
「第6次産業で、地域活性だ!」
僕が2年半、高知で教わったことは、それらとは違いました。
「地域活性」と言う言葉自体、卑しい響きを感じるのですが、
本当に地域に必要なのは、「人が育つ仕組み」だと思います。これが結論です。
人の流れが最後までデザインされているか
どうやって人を集めるのでしょうか。
また、集めた人をどうしたいのでしょうか。
会員さんとしてコミュニティに入ってもらうのか、
プロジェクトを一緒に進めるメンバーになってもらいたいのか、
地域に移住して欲しいのか、目的によって全然手法が違うと思います。
食育がしたい!
じゃあ、食を含む、あらゆるコンテンツを教える人は100年後もいるの?どうやって続けさせる?
農業がしたい!
たとえ稼げても、農業が上手く行かない人もいる。その人はどうすれば?
6次産業化だ!
加工、梱包する人はどこから来るの?もう、70代の高齢者しかいないよ・・・。
そう、地域活性事業には必ず、人が必要なんです。
例えば農業をするとき、農場の管理だけではなく、
出荷の選別、経理、販売・・・etc.
特に、出荷の選別作業は単純になりやすいがゆえに、
60~80歳ぐらいのおばちゃまで構成されているのもザラです。
人の流れが最初からデザインされているかどうかが、物事のスタートだと思います。
「どこから人がきて、集めた人たちはどこにいくのか? 」
これが、最初の問いであるべきだと、僕は思います。
この辺は、本当にシェアビレッジの武田さんは感動的です。
武田さんは、このシェアビレッジのコミュニティをどうしていくのか。
「村があるから村民がいるのではなく、村民がいるから村ができる」
とは、まさに地域活性の正論であり、これが根底にあるべきだと思います。
僕も年貢を納めているので、どう巻き込まれるのかワクワクします。
高知でジョジョ立ちする、秋田人と大阪人、そして江戸っ子。
(武田さん、誕生日おめでとうございます。)
また、極端な例ですが、就農希望者の移住支援をしている団体の理事がこんなことを言っていました。
「移住する前に、最初に綿密な面接を行う。嫁さんと子供がいるかが重要だ。家族がいる男は、後がないから必死にやる。独身の男は、途中で辞めることができる。だから、家族連れがいい。子供がいるだけで、近隣からの評判もいい。下手な人間にこられちゃ困る。」
・・・ゾッ
しかし、賛否両論あると思いますが、これも目的によって人の流れをデザインしている一例です!
地域で育つ仕組みが人を呼び、人が人を呼ぶ
見ていて一番違和感を感じるのは、「地域活性化してみませんか?」の類です。
僕の感覚ですが、この類の言葉は、地域側の論理がチラホラと見えます。
人が欲しいから、わかりやすい言葉で誘うのだと思います。
うたい文句としてよく見かけるのは、「農業革命」、「地方創生」、「人があったかい」、「スローライフを!」「6次産業の担い手に!」
最初に述べた、人の流れがデザインされているのでしょうか。集めて、どうするのでしょうか。
地域おこし協力隊の一部の人たちみたいに、受け入れ体制がなく、放置され、来た人が地域でくすぶっていませんか?
農業をするのはいいですが、農業をした後どうするのですか?死ぬまで農業をするのですか?そうは思えない人、正直しんどいなと思ってしまった人はどうすればいいですか?
僕は、この議論の本質は、東南アジアの農村部と同じだと考えています。
「各個人が持つ潜在能力を最大限発揮して、望む選択肢を実現し、社会と関わっているか」つまり、そのように「人が育つ仕組みがあるか」がもっとも重要なのです。
そこに気づいている地域は、すでに行動を起こしています。
僕が参画している「ひかりプロジェクト」
「世界で戦える人材を高知県からたくさん輩出するぞ!」というゴールでした。
農業単体、もっと言うとその地域単体でやるから選択肢の幅が狭くなるんだと言う考えです。だから、海外とどんどん繋がっちゃうし、他の地域とも連携して事業展開する。それは、肥料、ニラ、トマト、米、卵、肉、飼料、WEB、販売、それらの川上から川下の全てをやっているから繋がるんです。
どっからでも入り口がある。後は、各個人が潜在能力を発揮できるポジションに任せればいい。選択肢はいくらでもある。だって、普通に農業していて、ある中東の国から「予算○○○○万円つけるから、循環型農業を我が国でもやってくれ!」って言われることがありますか。いや、なんでだよ(笑)
本当、笑っちゃうぐらい、たくさんの選択肢があります。そして、それらのベースを築く手段が循環型農業だっただけ。近いうち、今度は僕がエンジニアorマーケッターとしてフィリピンの子供たちに養鶏とWEB技術を教えているかもしれません。
そして、仕事が面白い、楽しい!という生き方こそが、他人に影響を与えるのだと思います。まさに、人が人を呼ぶのです。
僕が学生に高知での体験を話したら、「俺も北海道の実家を本気で継ごうか、初めて考えた」と言いました。
ある養鶏会社の創業者は、あらゆる常識をぶち壊して素晴らしい経営をされていて、自分の代で辞めようとしたら、息子さんがある日「俺が社長を継ぎたい」と言ってきて、下っ端から働かせました。
僕は、農業をやるつもりは全くありませんでしたが、プロジェクトのミッションを話す社長に騙されて就職しました。すみません(笑)
でも、リスクをとって本気で人間教育をして、世界で戦えるように僕ら若者を育てようとしてくれる。その姿勢が、1番人を動かすのですね。だから、東京に戻ってもプロジェクトのメンバーとしてずっと仕事するのでしょうね。
だから、人が育つ地域は面白くて、人が集まるんです。
こちらの「サラダボウル」さんも素晴らしいご活躍ぶりです。
ここで教わった5Sの動きや、早朝勉強会は、なるほどこれをやってたらそりゃ世界一になるわ、という感動でした。みなさん素人だったのですが、もともと他の仕事で一流のひとたちなので、やる時は徹底的です。その姿勢が、若い人たちにも見事に伝播されています。
各々が得意なポジションにつき、海外にも展開されています。
田中進さんの著書「僕らは農業で幸せに生きる」は今でもたまに読み返す。
まだまだ言語化できていないことも多く、もっともっと書きたいのですが、今回はこの辺で。また同じような記事を書くと思います。
高知でなんでこんなこと思うようになったかは、こちらのシリーズで綴っていきます。
質問なんかもらえたら嬉しいですね。それでは、また。
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